「進行性核上性麻痺の父が誤嚥性肺炎に!」
「最期まで口から食べたい!誤嚥性肺炎の受診で家族が気を付けることは?」
こんにちは!進行性核上性麻痺の父を妹たちと介護している、四姉妹の長女、介護福祉士のゆるねえです。
高齢化社会の現在、誤嚥性肺炎で亡くなる方が多いと聞いたことはありますよね。
ましてや父のような神経性難病の人は、必ずなると心づもりをしておいたほうがいいでしょう。
本人はもちろん家族も正しい知識をもつことが大事。
そしてとうとう我が家でも、、、。
父の経過を書いた記事にある「2019年5月(84歳)誤嚥性肺炎で3回目の入院」が起きてしまいました。
受診時のあわてぶり、思い込み、反省をご覧になり、あなたが同じ場面に遭遇したときは、落ち着いて行動できますように!
この記事は、入院についての4回シリーズの1記事目として、誤嚥性肺炎で入院する前に知っておきたいポイントと、我が家のケースの実録についてお話します。
まず、重要なポイントからお話しますね。
医師と家族の最初の面談が重要な訳とは!
誤嚥性肺炎で入院することになった時、病院で治療してもらえば安心と思っていませんか?
いいえ!
高齢者が入院すると、元気で帰宅できるとは限らないんです。
進行性核上性麻痺に限らず、高齢者全般に言えること。
なぜかというと、
- 長期間入院すると身体機能が落ちる
- 治療半ばで体調すぐれないまま飲み込みの検査され、医師から絶飲食を宣告され、食べることができなくなる
というリスクがあるからです。
これを防ぐには、入院前に医師と家族が行う最初の面談がキモ中のキモ!!
治療は大事ですが、ちゃんと伝えないと、入院後に「食べられない→弱る→食べられない…」という負のスパイラルに陥る危険があるんです。
入院して治療が進んでからでは容易に変更できません。入院前に、医師に要望をしっかり伝えることです!
以下、誤嚥性肺炎発症からの実体験をもとに詳しくお伝えしますね。
誤嚥性肺炎発症から受診までの実体験
看護師さんが父の異変に気づく
朝食の1時間後、見た目は静かに眠っている感じでしたが、訪問看護の看護師さんが父の異変に気づいてくれました。(ちなみに体温は平熱)
血圧74/48 脈100 SPo2 91% 左肺に雑音あります。
食物多量に吸引しました。誤嚥性肺炎の疑いあり、往診か病院受診になるか訪問診療に電話しますね。
看護師さんが訪問診療に電話をすると、訪問診療の母体である病院に受診してレントゲンを撮るようにとの指示。
私たちも、すぐにケアマネさんに電話。
介護タクシーを手配してくれました。
妹たちは仕事中だけど、次女ちゅうちゃんには電話し、三女もよと四女けろたんにはLINEグループで連絡。
具合の悪い父を車いすに乗せ、いざ受診です。
病院で受診した時の医師の言葉に愕然!?
訪問診療の母体の病院に着くと父はすぐレントゲン撮影へ。
しばらく待ち診察室に呼ばれました。
H医師が父の肺のレントゲン写真を見せ、ゆっくりと丁寧に説明を始めました。
誤嚥性肺炎です。ここ見てください、肺の下のほうが白くなってます。これは寝たきりの人がなりますね 。
治療は抗菌薬の点滴をします。10日から2週間入院して、口から食べることができるか飲み込みの検査もしますね。
場合によっては食べると危険なので、延命について、、、、。
食べると危険?延命?
頭がフル回転・・・ここから先よく覚えてないんです(・・?
頭の中は?マークが、、グルグル渦巻いてます。
訪問診療でリビングウィル(終末期の医療・ケアについての意思表明書)書いたよね。
父は胃ろう(*)や中心静脈栄養 (*) はしないと知っててのこのセリフ?
とにかく、ちゅうちゃんに報告しなきゃ、、
この展開は私たちの望むことじゃない!!
すみません!家族に電話して相談させてください!
H医師の許可をとり、外に出て仕事中のちゅうちゃんに電話。
ちゅうちゃんも悩んでいるのが 電話越しでもわかります。
まじか、、10日は長いね。身体機能落ちちゃうね
我に帰った私
そうだよね。我が家の希望を先生に伝えるわ!
なぜこんなに慌てふためいているかというと・・・
先ほど申し上げたとおり、高齢者の入院はリスクですらあるから。(´;ω;`)ウゥゥ
進行性核上性麻痺の父は、 ただでさえ 病気の進行ととも嚥下(*)状態がどんどん悪くなる。
次に、私達姉妹が慌てふためいた背景である、「恐れていたリスク」は何かをご説明します。
四姉妹が恐れていた2つのリスクとは!?
私達四姉妹が恐れていたリスクは2つあります。
口から食べられなくなるリスク
父が誤嚥性肺炎と診断されたこの頃は、丁度、2冊の本で誤嚥性肺炎について勉強中でした。
1冊目は、小山珠美先生が書かれた「口から食べる幸せを守る」です。
この本により、誤嚥性肺炎を治療してもらった後、適切なケアと知識で乗り越えられるかもしれないとわかっていました。
2冊目は、前田圭介先生が書かれた「誤嚥性肺炎の予防とケア」です。
誤嚥性肺炎は、数多くの要因が絡み合って発症すると考えられるため、単に食べ物を誤嚥したから発症するわけではない・・・等、知識として知っておきたいことが書かれています。
一番恐れたのは、治療半ばで体調すぐれないまま食べることができるか検査され、医師から「食べることはできません、絶飲食にしないと危険です」と宣告されることです。
そう言われたら、退院後の訪問看護、介護も、その方針に従ったケアに流れる可能性があります。
廃用が進むリスク
二番目に恐れたのは廃用(*)がすすむこと。
廃用って、何だか怖い言葉!
廃用が進む過程はこんな感じです。
治療中は禁食
↓
口を使わない
↓
感覚刺激低下
↓
食べるための嚥下機能低下
24時間点滴
↓
安静
↓
寝たきり
↓
筋力、身体機能低下
↓
廃用
負のスパイラルだね。食べないと唾液の量も減るから口の中も不衛生になる。
こんな状態で食べられるか飲み込みの検査をしてもたぶん無理だよね。
私達の場合は、治療でお世話になるこの急性期病院(*)が、父の食事介助を適切にできるかもわからない。(人手と時間を確保してくれるのかも)
それならば治療が済んだら早く退院し、勉強していた食事介助技術で今までどおり家で食べてもらおう。
と、姉妹で相談していたので飲み込みの検査をせずに退院を希望したのです。
病院の看護師さんが状況を分かってくれていた!
H先生ともう一度話そうとロビーを歩いていると、診察室にいたK看護師さんが声をかけてくれました。
娘さん、大丈夫ですか?何か悩んでいませんか?私お父さんの家に訪問したこともあるんですよ
私の表情で混乱していることがわかったんですね!看護師さん、感謝!
天使が舞い降りたようです(´;ω;`)
看護師さんにうち明けました。
先生は父のリビングウィルを知ってての話をしているのですか? 父は今話すことはできませんが、胃ろうや中心静脈栄養などの延命はしないと言っていました。 飲み込みの検査をして食べられないとなっても、家で食べると思います!
先生はリビングウィルやご本人、家族の希望を知らないで話をしてます。外来の初診では訪問診療の情報は入りません。
そうだったのか、、、最初に聞けばよかった、、(;´д`)思い込み禁物ですね。
そこでH医師とケアマネさんもほぼ同時に私に気づき、かけよってくれました。
私はそこでもH医師に同じことを伝え、飲み込みの検査結果はどうであれ、家に帰れば口から食べることを伝えました。
真剣な表情で聞いてくれたH医師、話を聞いて、優しく私にほほ笑み
わかりました。それなら入院して飲み込みの検査はせず、なるべく早く退院するか、入院せず家で薬を服用するか選べますよ。
しっかり治療するには点滴のほうがいいそうです。
父に適した薬の点滴は管理が難しく、家ではできないとのこと。
今回初めての誤嚥性肺炎でしたので、入院して点滴をし、最短で帰るほうを選びました。
それはそれで不安なことは山ほどですが、肺炎がなかなか治らず、入院期間が長引くことにならないのを祈るだけです。
父も家族も踏ん張りどころです!
その日はベッドに空きがなく、翌日入院となり、いつも信頼しているケアマネさんが介護タクシーの手配、訪問介護事業所に連絡してくれました。
迅速に治療をしていただき感謝ですが、対応にはモヤモヤ感がありました。 父の入院前の実録はここまでです。
なんとも私、慌てふためいてましたね。(;´д`)
次に、今回の受診の反省点をお伝えします。
誤嚥性肺炎で受診した際の3つの反省
今回の反省点は3点あります。
訪問診療の母体の病院だから、父の情報が全て共有されていると思い込んでいた!
そもそも、情報共有の思い込みが、あわててしまった根っこです。
大きい病院が母体にある訪問診療だったからこそ、スムーズに受診やベッドの調整をしてくれたのはよかったね。
本人と家族の気持ちを医師に伝えるのが遅かった!
前にも伝えたはずと安心せず、何回でも伝えること!
誰か一人に伝えても共有されているとは限らない。
さらに、本人や家族は気持ちが変わることがあります。 現在のリビングウィルをしっかり伝えることが大事。
最初の面談で退院時にどんな状態を望むかをはっきり伝えていなかった!
父の場合は「食べられる状態で帰宅させたい」と最初の面談ではっきり伝えなかったんです。
家族で口腔ケアや食事摂取はしましたが、病院側に対しては、急性期病院だからと遠慮していたかも知れません。
どんな病院であろうと、食べ続けますと宣言し、伝えればよかったです。
これとっても大事!!入院中じゃなく、最初の面談でしっかり伝えるべき!
本音を言うと、訪問診療から外来にリビングウィルを含めた申し送りをしてもらえればありがたかった・・・お忙しいとは思いますが、そのまま医師の話のままに進んでいたら望まない結果になっていたかも知れません( ノД`)シクシク…
最後にまとめます。
まとめ
医師との最初の面談が重要な理由は、要望をしっかりと最初に伝えないと、口から食べられなくなったり廃用が進む可能性があるから。
この記事では、進行性核上性麻痺の父が誤嚥性肺炎で入院した際の経験から、 下記のとおり、ポイントと役に立った本についてお伝えしました。
■気を付けたいポイント
- 家族も誤嚥性肺炎をしっかり勉強する。
進行性核上性麻痺等の神経難病の人ではよくあることです。
知らないと余計に怖いです。 - まず治療優先だが、口から食べられなくなるリスク、廃用が進むリスクがあるため、早めに退院できないか医師に相談する。
退院後に食べられるようになるための介助が不安なら、退院までにどこまで回復させてほしいか必ず伝える。すべての在宅医療、介護のチームが、安全に食べるスキルがあるとは限りません。 - 医師との最初の面談時に、本人、家族の意思をしっかり伝える。
意思は伝えているはずと思わず、最初に伝えて!数日たってからではダメですよ。
■誤嚥性肺炎の知識として役に立った本
(1)小山珠美著 生きることは食べる喜び「口から食べる幸せを守る」
小山先生は、「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組などで取り上げられたこともある、医療現場で「食べること」が軽視されていると警鐘を鳴らしている看護師さんです。
字も大きく、読みやすくておススメですよ。
ちなみに、三女もよが、小山珠美先生の講座のレビューを別のブログに書いてます。
こちらもどうぞご覧ください(^-^)
https://mahiruno-watashi.com/3894
(2)前田圭介著 「誤嚥性肺炎の予防とケア 7つの多面的アプローチをはじめよう」
薬物療法だけではなく、多くの側面から誤嚥性肺炎をケアすることで患者さんの予後が良くなることが、専門医の目線から説明されています。
以上、『進行性核上性麻痺の父が誤嚥性肺炎で入院#1:医師との最初の面談が重要な理由とは?』でした。最後まで読んでいただきありがとうございます。
つぎは、一番の踏ん張りどころの入院!
入院時の注意点と、入院中の5日間実録の記事はこちらです。ぜひご覧ください(^-^)
▼ ▼ ▼
コメント