「進行性核上性麻痺の父の食事介助はどうしてる?」
「なぜ食べることがこんなに大変なの?摂食嚥下障害ってなに?」
こんにちは!
進行性核上性麻痺の父を妹たちと介護している長女のゆるねえです。
介護福祉士の資格をもっています。
今回は、「摂食嚥下障害のある父の食事介助」についてお伝えします。
進行性核上性麻痺の介護で1,2を争う大変なことが「摂食嚥下障害」ではないでしょうか
(もうひとつは我が家は転倒でした)
摂食嚥下障害とは、簡単に言うと「食べること、飲み込むことの障害」。
父も病気が進行するにつれ、
✓食べてむせる
✓寝てもむせる
✓口が動かない
など、他にも口の動きや飲み込む機能低下の症状がでてきました(>_<)
父は胃ろうや中心静脈栄養等の延命は希望していないので、安全に食べることは必須の課題です。
こちらの記事でも、ケアの5つのポイントの1つとして、「食事」を挙げています。
食事介助は、とっても大事!
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元気な頃から、
・真っ黒のバナナ
・熟れ熟れの柿
・ぞうすい
等のよく噛まなくてもいい食ベ物も大好きだった父。
今はムースやペースト食しか食べていませんが、食べる楽しみをできるだけ続けていけたらいいな。
この記事を読むと、食事介助について、こんなことが分かります。
- 父の症状にあった食事介助法の効果
- 食事介助のポイントと理由は
- 我が家で実践している食事介助の具体的な方法
摂食嚥下障害も人によって症状は様々です。
あくまでも父の場合ですが、この情報が少しでもお役に立てればうれしいです。
まず、父の症状に合わせた食事介助で、どのような効果があったのか簡単にお伝えします。
父の症状にあった食事介助法の効果は?
食事介助を工夫したら、父にこのような効果が!
- むせが減った
- 食べ物を口からこぼさなくなった
- よく口が動くようになった
- スムーズに飲み込めることが増えた
- 11か月間、37・5度を超える熱はなし
もちろん、食べる時の姿勢や栄養等の別の要因も関わっています。
食事の量は減っているし、むせたり(大きな咳で吐き出せます)、口が動かない時もあります。
でも、好物の果物や甘いものを食べる時は飲み込みが特に良くなる(笑)
食事介助は食べる時の姿勢を整えないとできないのです。
こちらの記事も、ぜひセットでお読みくださいませ(^^)
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次に父の食事介助のポイントをご紹介します。
食事介助ってどうやるの?ポイントは?
摂食嚥下障害の父の食事介助として、効果を感じている方法(ポイント)はこちらの4つ!
- 食べる前や食事中に唾液腺マッサージ(耳下腺、顎下線、舌下線を刺激し唾液をだしやすくするマッサージ法)や指で口の内側のストレッチをする。
- 咀嚼(噛む)や飲み込む(嚥下)時に、口を閉じるサポートをする。
- 食事中は「嚥下しやすい食べ物」と「嚥下しにくい食べ物」を交互に食べてもらう。
- 口の動きが止まったらスプーンで軽く舌を押す。
なんだか難しく感じますよね(;^_^A
でも楽に食べられるようになったんです。後ほどこの方法を基本に、父バージョンの具体的な食事介助をご紹介しますね。
では、なぜこのポイントが大事なのでしょうか。
食事介助方法の4つのポイントが大切な理由は?
4つのポイントがどうして大事か、順を追ってご説明しますね。
まず、食べて飲み込むことはどんな流れで行われているかについてです。
まずは摂食嚥下の仕組みからお話しましょう。
摂食・嚥下の一連の流れ
食べて飲み込むことの一連の流れはこんな感じです。
食べ物を認知する
↓
口の中に食べ物をいれる
↓
噛み砕き、唾液と混ぜてすりつぶし、飲み込みやすい形(食塊形成)にする
↓
舌や頬の筋肉によって喉へ送りこむ
↓
喉を通過するときに嚥下反射が起き、食道へ送り込まれる
嚥下反射の時は どうなるかというと…
・食べ物が気管に入らないように気管の入り口に蓋をする。
・食道が嚥下の瞬間にだけ開き、食べ物を送り込む。
なるほど(*・ω・)
健康な人なら無意識に嚥下反射しているけど、実は高度な動きをしているのね。
そして父の病気や高齢者は(脳、口腔内、嚥下)の神経や機能、筋肉に障害がでるから、食べることが難しくなる(>_<)
そうそう!嚥下反射って、とっても高度な動き!
摂食嚥下障害は、この一連の動作がうまく機能しない状態。
口から上手に飲み込めなくなることです。
父の摂食嚥下障害の症状 はこのようなもの。
- 口に食べ物が入っても咀嚼しない、飲み込まない
- 食べこぼす
- むせる
これらは、
脳が認知した情報をもとに命令を出す
↓
多くの神経や口の中の筋肉が食べる動作を実行
という、脳と筋肉の連携プレーの機能低下でおこってしまうのです。
おまけに父は認知機能も低下しています。
そうなのか・・・
摂食嚥下や認知の機能が低下しているから、対策をとって食事介助をするんだね。
もし対策をとらなかったらどうなるの?
対策をとらないまま食事介助を続けると?
対策を取らないまま食事介助を続けると…
- 誤嚥、窒息
- 食事量低下で低栄養
- 誤嚥性肺炎
等の危険があります!
なるほどー!
命に関わるリスクがあるから、症状にあった食事介助が大事なんだね。
小山先生のセミナーに姉妹で参加して食事介助をおしえてもらったよね。
実際にセミナーに行った時のレポはこちら!
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「口から食べる幸せを守る会」のセミナー情報はこちらです!
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また、『「食べる」介護がまるごとわかる本』は
胃ろう造設の前に介護現場にできることというコンセプトで書かれた本。
食事介助の困りごとや解決法が詳しく載っていて、とっても勉強になりました!
次は我が家で実践している、父の具体的な食事介助法をご紹介します。
摂食嚥下障害の父に起きた問題と食事介助方法
食物の形態はムースやペースト食です。水分もトロミをつけます。
手は自由に動かず全介助。姿勢調整のお話は別記事をご覧くださいね。
食べて飲み込むことが難しい父。
日頃よくある問題とそれに対応した食事介助の方法をお伝えしますね。
口に食べ物がはいっても咀嚼しない、飲み込まない
食前、食事中に、口に食べ物が入っても噛まない、飲み込まないときは・・・
このような対応をしています。
食べているときにあちこちから話しかけるのもダメみたい。
嚥下に集中できる環境も大事なので、テレビは消しています。
水分でむせる
水分でむせる時は、原因として、嚥下反射機能が低下しているので飲み込むタイミングが合わないと考えられます。
父にあったとろみの形態があり、現在は市販の「のみや水」の形態がむせなく飲めます。
飲み込んだ時にむせる、時間がたってからむせる
食べ物や飲み物を、飲み込んだ時にむせたり、時間がたってからむせる時は…
・口が閉まらない
・嚥下機能低下のため飲み込む時のパワーが不足
が原因と考えられます。
そのため口の奥に食べ物が残り、呼吸をしたとたんに気道にはいったり、
後からゆっくりと気管に落ちてしまったり(>_<)
こんな対応で乗り切っています。
まだしゃべれる頃から上唇がひきつると言ってた。
口がしっかり閉じないのです。
食事介助が必要な人に適しているスプーンはこのようなもの。
- スプーンホールが浅く
- 一口量が多くならないもの
- 柄が長い
介護用スプーンで検索するといろいろありますが、我が家では「KTスプーン」を使っています。
KTとは、「口から食べる」の頭文字。
KTスプーンは、横から見るとこんなに薄いんです。
口に入りやすくて、量も多すぎず適当です。
咀嚼が止まる
口に物を入れていながら、咀嚼がとまることもあります。
ゴクッと飲み込んだら、すぐに次の食べ物を口にいれるように準備。
咀嚼のリズムを止めないようにペース良く口に入れます。
必ず口の奥にたまっていないか確認しながら、のみや水と食べ物を交互に食べてもらいます。
咀嚼のあと飲み込まない、飲み込んだと同時に口からこぼれる
舌の機能が低下しているので、食べ物を舌の前方においても喉に送り込めません。
スプーンで軽くプッシュして舌の中央におくと咀嚼のスイッチがオン!
前かがみや左右に傾むく姿勢も、食べ物の送り込みができない要因のひとつ。
舌を軽くプッシュすると・・・
口に食べ物がはいりましたよ~噛みましょう!
と脳が指令を送り、口の動きのスイッチを誘ってくれてるみたい。
食事介助が適切か不安になりますよね。
摂食嚥下障害に詳しい専門職の方(医師、看護師、言語聴覚士、栄養士等)につながりたいですね。
唾液腺マッサージや口腔ケアも教えてもらえます。
食べ物を口の中にためこむのはとても危険。
口の中にある食べ物(トロミあり)から水がでて、喉に流れて誤嚥してしまう。
けろたんの言うとおり、トロミがついていても危険な時があるんです。
トロミのことはいずれ食物形態の記事でお話したいと思います。
こちらの2冊の本も紹介させて下さい。
今の介助方法が適切であるか何度も読み返しました。
バイブルです!!
①小山珠美先生の本「口から食べる幸せをサポートする包括的スキル」
②野原幹司先生の本「認知症患者さんの病態別食支援」
では、まとめてみましょう。
まとめ
今回の記事でお伝えした内容をまとめます。
●摂食嚥下障害とは
摂食嚥下の一連の流れに問題が生じて、口から上手に飲み込めなくなること。
脳が認知した情報をもとに命令を出す
↓
多くの神経や口の中の筋肉が食べる動作を実行
という、脳と筋肉の連携プレーがうまくいかなくなる。
●摂食嚥下障害の症状に合った食事介助をしないと
✓誤嚥、窒息
✓食事量低下で低栄養
✓誤嚥性肺炎
等の命に関わるリスクがある。
●父の食事介助のポイント
- 食べる前や食事中に唾液腺マッサージ(耳下腺、顎下線、舌下線を刺激し唾液をだしやすくするマッサージ法)や指で口の内側のストレッチをする。
- 咀嚼(食べ物を噛むこと)、飲み込む時に口を閉じるサポートをする。
- 食事中は嚥下しにくい食べ物としやすい食べ物を交互に食べてもらう。
- 口の動きが止まったらスプーンで軽く舌を押す。
父が安全に食べる為、食事介助を工夫してくれるヘルパーさん達、いつもありがとうございます。
実は食事全般について訪問栄養士さんにも支えてもらっています。
いずれ別記事でお伝えしたいです♪
以上、『進行性核上性麻痺の家族介護:父がむせる!こぼす!ためこむ!どうやって食べたらいい?』でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
進行性核上性麻痺の介護の話題は、他の記事でもお伝えしています。
誤嚥性肺炎で入院した時のレポもぜひご覧ください♪
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