こんにちは。要介護5の認知症の母を四姉妹で介護していた、三女のもよです。
母の看取りの体験談として、経過を「発熱」、「治療」、「看取り」の3本に分けて詳しくお伝えしています。
前回はこんな記事を書きました。まだお読みでない方は、ぜひこちらからご覧ください。
この記事では、2週目「腎盂腎炎と敗血症の治療」について、全体感、毎日の記録、振り返りを書いていきます!
腎盂腎炎と敗血症の点滴開始!
前回の記事でお伝えしたように、施設退所後1周年の記念日に母が発熱。
その後、母の体調が急降下する異変がありました。
痛そうな唸り声を上げ、苦しそうな表情も見せるようになったのです。
サチュレーションも変動していたため、看護師さんを呼びました。
尿に問題があるかも知れないとの推測で、医師に相談のうえバルーンカテーテル(尿道留置カテーテル)を入れたところ…血尿が!!
バルーンカテーテルのイメージ図です。
その後の採血により、尿路感染症が判明しました。
数値から、菌が腎臓まで到達していると思われるため、腎盂腎炎と診断されたのです。
母は以前から膀胱炎など泌尿器科系にお世話になることが多かったです。尿路感染症と知り、「やはり、弱かった所に起きてしまった!」と思いました。
尿路感染症の解説はこちらです。尿路とは、腎臓から排出口までの全てを指すのですね。知らなかった…。
尿路とは、尿が作られて排出されるまでにたどる、腎臓、尿管、膀胱、尿道のことをいいます。この尿の通り道に細菌が感染し、炎症が起こるものを「尿路感染症」といいます。
引用:総合南東北病院 https://www.minamitohoku.or.jp/up/news/konnichiwa/200602/nyouro.htm
尿路感染症の多くは、尿道口から侵入した細菌が尿路をさかのぼって感染、炎症を起こす「上行性感染」によるものです。とくに女性は尿道が短いため、尿路感染症にかかりやすいといわれています。
主な尿路感染症には「腎盂腎炎(じんうじんえん)」、「膀胱炎」、「尿道炎」があります。
さらに、敗血症状態でもあると言われました。敗血症は、俳優の渡辺徹さんがかかった病気です。調べるととても怖い病気だとわかりました。
敗血症は、細菌などの病原微生物に感染し、体がその微生物に対抗することで起こるさまざまな状態のことで、全身性炎症反応症候群ともいいます。
引用:社会福祉法人 恩賜財団 済生会 「敗血症」
(中略) 敗血症と診断されたら、ただちに治療を開始することが重要です。 治療が遅れると、全身のバランスが崩れ、低血圧による意識障害などを引き起こしてショック状態となります。
治療のため抗生剤の点滴を開始し、口から食べることも禁止に。禁食になったのは、誤嚥性肺炎の可能性があったことに加え、苦しそうに唸っていて食事に集中できず、却って誤嚥してしまう恐れがあったためです。
そして、母にとって辛い治療が始まり、命の危機と思えるような「体が冷たくなる一夜」が訪れました。
幸いその危機は脱したものの、とても緊迫する一週間でした。
点滴をぶら下げ、母の体には点滴とバルーンカテーテルの管が繋がり、部屋がまるで病院の一室になったかのようでした。
毎日の介護記録
母の体調変化と治療等について、毎日の介護記録からたどります。
- 4/24(月)唸り声がでてきて苦しそう。訪問看護→訪問診療、点滴開始
SpO2が91、血圧87-65。唸り声が出て苦しそう。波状に痛みがあるようで、手を握ると唸り声とともに強く握りかえす。
訪問看護に電話して看護師さんに来てもらう。膀胱あたりが硬いことを確認。バルーンを入れると膿のような血尿が出る。
訪問診療の医師に来てもらい、熱源は尿の可能性大とのこと。検査のため採血。便が硬いのは脱水のため。肺炎の可能性もあるため食事を中止し、抗生物質の点滴を開始。腕に刺すところがほとんどないが、医師の努力によりなんとか入れられた。
「効果が出れば良くなるが、悪くなる可能性もあります。ご家族としては入院させる気はないですね」と念押しあり「はい」と回答。
点滴は抗生物質ロセフィンと水分。家族も、点滴の交換方法のレクチャーを受ける。
夜には柔らかい便がでた。ちなみにバルーンを使うことで尿はウロバッグに出る。おむつに出るのは便のみ。
- 4/25(火)血液検査の結果判明。腎盂腎炎と敗血症の疑い
点滴継続。訪問診療の医師より、血液検査から脱水症状と腎機能の数値が高い等の所見ありと説明。
口からの肺炎か尿路感染が疑われるが、肺音はあまり悪くなく血尿が出てるので尿路感染の疑いが高いとのこと。細菌が腎臓まで到達している場合は腎盂腎炎とのこと。
医療保険の適用となり、看護師さんが基本毎日入ってくれることに。ヘルパーはおむつ確認と口腔ケアのみの短時間体制に変更。PTと訪問マッサージは従来通り継続。
夜間は唸り声が強くなる。
長女ゆるねえもともと手足に強い拘縮があった母。発熱した頃から脱力状態が続いていたのは、「体がだるくて力が入らないためだった!」と気づきました。
相当辛かったんだろうなと思います。
- 4/26(水)尿は量が少し増え、色が少し薄くなる
夜間は唸り声が強いが、昼間は比較的楽そう。SpO2改善。尿量300cc。
- 4/27(木)尿量減少、むくみ増加。訪問歯科による口腔ケア指導
呼吸時に胸を上げ下げし、体幹や背中にもむくみが出る。尿量300cc。
看護師から医師に報告。医師からは、このまま点滴は継続するが、回復できず急変のおそれもあるとのこと。
長女ゆるねえこのとき覚悟したものの、「苦しみなく穏やかな状態で看取りたい・・・痛みで唸り声をあげているような辛い状況の中で息を引き取らないで・・・」と祈る思いでした。
訪問歯科に来てもらい、現状を踏まえた口腔ケアの指導を受ける。口から食べていなくても、汚れた唾液により誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、口腔ケアがとても重要とのこと。
四女けろたんこういう時こそ口腔ケアが大切ということは、我が家が父の介護の時から肝に銘じていたことでした。
- 4/28(金)命の危機!?異様に冷たくなるが温活により復活
尿量が120ccに。手が異様に冷たく、擦っても厚手のレッグウォーマーをつけても回復せず。
顔にも生気がなく、顎を小さく動かすような呼吸になる。看護師に連絡。
いよいよな感じとなり、姉ともLINEでグループ通話し母に声をかける。
ところが!真冬用の厚手のふとんと肩当てをかけて、手足を二人でマッサージしていたら、徐々に生気がもどってきた!
いつもは1人体制で泊まっていたが、この日は2人体制とした。
2週目の振り返り
当時の様子を、姉妹で振り返ります。
母の唸り声は夜間に特に強くなり、痛そうな様子が見ていても辛かったです。
本人は本当によくがんばったと思います。
訪問診療の先生、看護師さん、訪問歯科の先生と衛生士さんには、本当に力になっていただきました。家族も含め、一丸となっていただき、まるで「チーム◯◯子(←母の名前)」のようでした。
不快なときは少し顔をしかめる程度ですぐ落ち着いていた母。唸り声をあげて苦しむなんて、ほんとうに辛かったんだと思います。
遠く離れていた私は、妹たちから逐一LINEで状況を聞いていました。動画で様子が見られて、そばにいるかのように状況が理解でき、助かりました。
体の全身状態を観察することは大事だと痛感しました。痛みが少しでもラクになるよう、姿勢やベッドの角度などを調整したりしました。
医師や看護師さんに、足のむくみのことなど質問もして、皮膚に負担がかからないような介助を工夫しました。
母の体が冷たくなったときは、ただの冷えとは違う異様な感触でした。これはまずいと、かなり緊張。
私自身が冷え性なこともあり、日頃から実家にも温活グッズを常備していてよかったです。
ちなみに、口腔ケアの写真に写っているこの歯みがき粉は、「オーラルピース」という製品です。
買ったのは母が発熱する前でした。介護家族さんが発信するツイッターで「味がよい」と評判がよかったものです。
うがいができないのに歯みがき粉なんて使っていいの?とお思いかも知れません。
実は、この歯みがき粉は飲み込んでも問題がないのです!
以下の記事に詳しく説明されていますので、ご興味ある方はぜひ読んでみてください。
次回は看取り実録の最終回。3週目の出来事として、ゆるやかな回復からの看取りについて書きます!
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当ブログでは、進行性核上性麻痺だった父と認知症の母の在宅介護について、参考情報を掲載しています。ぜひ他の記事もご覧ください。
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